1. TOP
  2. IR情報
  3. 経営情報
  4. 事業の内容

IR情報

Investor Relations

事業の内容

オプティカル事業

X線ナノ集光ミラー
X線ナノ集光ミラー

当事業では、物質科学だけでなく、広く創薬や医療技術の基礎研究に取り組んでいる兵庫県の大型放射光施設「SPring-8」やX線自由電子レーザー施設「SACLA」等国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザー施設等で使われる反射表面の形状精度が1ナノメートル(10億分の1メートル、以下nmと表記。)以下の超高精度のX線ナノ集光ミラー等の設計開発・製造・販売を行っております。
本ミラーは放射光X線をnmスケールまで絞ることが可能で、そのことにより分析精度の向上、測定時間の短縮や極微小領域の分析等を実現し、放射光の優れた特性を発揮させることが可能になります。
当社が販売するX線ナノ集光ミラーは兵庫県にあります「SPring-8」に代表される大型の放射光施設や「SACLA」のようなX線自由電子レーザー施設のほか世界各地の同様の施設で使われ、顧客は主に国内外の国立の研究機関や大学の研究者であり、国の研究予算により、年々積極的に新しい研究が提案され、新しい光学系の構築がなされております。
最近では放射光施設やX線自由電子レーザー施設において、物理、化学、生物などの基礎科学研究分野から、医学利用、医薬品設計、材料評価などの応用分野に加えて産業利用ニーズも高まりをみせ、放射光利用者は年々増大しております。これに伴い、より小さな試料やより高い空間あるいはエネルギー分解能(放射線のエネルギー測定の精度を表す指標。)での分析が求められ、光を扱う技術への高度化の需要は世界レベルで高まっており、当社の“OsakaMirror”の需要が拡大しております。特に平成25年頃からアメリカやヨーロッパだけでなく東アジアの放射光施設やX線自由電子レーザー施設からの当社への受注も増加しております。
例えば「SPring-8」では60本近いビームライン(放射光施設には放射光の取り出し口が複数設けられており、そこから取り出した放射光を用いて様々な実験や分析が行われています。この取り出し口から放射光を取り込むラインをビームラインという。)が稼働しており、それぞれのビームラインの川下でのX線ナノ集光ミラーの需要がありますが、ビームラインの川中、川上でも放射光の高調波カットや任意の波長を選択するための分光用の回折格子(グレーティングミラー。放射光施設で生み出される光は、波長の長い赤外線から波長の短いX線まで様々な波長の光が混在しており、その光から軟X線など特定の波長だけを取り出す(分光する)ために用いられる。)など2枚~8枚程度の様々な光学ミラーが使われております。その各種ミラーもX線ナノ集光ミラー同様に高精度化が要求されており、当社ではそれら需要にも積極的に応えてまいりました。
当社では常に海外の競合メーカーに対する技術的な地位を保持するために加工・計測に関する製造設備の高度化を図り、また次世代のミラーや様々な自由曲面ミラーの製品化のための研究開発を進めております。
平成29年8月に兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム)に採択され、「回折限界下で集光径可変な次世代高精度集光ミラーの製造技術の開発」、大阪大学、理化学研究所及び高輝度光科学研究センターと共同研究を実施し、次世代ミラーの商品化を目指しています。
X線ナノ集光ミラーはカスタムメイドであり、これを使用する研究者の実験条件により、その都度形状設計が必要となります。当社は長年大阪大学、理化学研究所及び高輝度光科学研究センターとの共同研究を推進し、その研究を通してX線ミラーの設計のノウハウを習得したことにより、顧客である研究者に対して最適なX線ミラーの提案が可能となり、今では海外の競合企業に対して差別化が図れております。
さらに本ナノ加工・計測技術を使って、放射光以外のX線光学素子<注3>用など他の産業分野(半導体、医療及び宇宙分野等)へ製品展開を図るために他企業との共同開発を積極的に進めております。
製造手順は、X線ミラーを受注してから形状設計を実施、承認後、原料となる単結晶シリコンなどのインゴットを調達し、まず外部の協力企業において目標形状に対して機械研磨、研削加工などで形状前加工(近似加工)を実施します。その後当社で目標形状に対してnm精度までナノ加工EEMとナノ計測RADSI及びMSIを繰り返し、製品を完成させます。また必要に応じてX線ミラーの反射表面に金やロジウムなどを均一にコーティングします。
販売体制としては、顧客の大半が国立研究機関や大学などであるため入札になる場合が多く、基本的には直接販売を行っております。また放射光施設のビームラインをまとめてプラント業者に発注するケースもあり、その工事受注業者からの発注になる場合もあります。

〔事業系統図〕

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

事業系統図

ライフサイエンス・機器開発事業

細胞培養装置 KB-4000
細胞培養装置 KB-4000
CELLFLOATシステム CellPet 3D-iPS
CELLFLOATシステム CellPet 3D-iPS

当事業では、創業当初は創薬スクリーニング<注4>に関連する細胞培養<注5>から、再生医療に関連する細胞培養まで様々な細胞操作を自動化した各種自動細胞培養装置やiPS細胞<注6>用の各種細胞培養装置の開発・製造・販売を推進してまいりました。
当社の自動細胞培養装置は、培地と呼ばれる細胞増殖に欠かせない栄養分を交換したり、細胞を培養したり、培地を保存したりする様々な機能をオールインワンにまとめた全自動化のシステムであることが特長で、この医療及びバイオ分野では顧客の希望する内容が多様化しており、顧客ごとに独自の操作手順を提案し、カスタムメイドで製造・販売してまいりました。
しかし最近では高価な自動細胞培養装置に対して量産汎用タイプを目指し、iPSアカデミアジャパン株式会社(現株式会社iPSポータル)とiPS細胞専用の自動細胞培養装置の開発に成功し、京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した直後、タイムリーに販売することができました。また長年産業技術総合研究所と浮遊培養(培地内を細胞が浮遊状態で増殖する培養方法)の一種である独自のCell Float技術<注7>を用いた3次元培養<注8>装置をコアにした再生医療向け3次元細胞培養システムの研究開発を推進し、また再生医療や創薬へ製品展開を図っております。
尚、医療及びバイオ分野以外でも企業からの委託開発を受注してOEM製品として供給したり、独自の製品としてX線ナノ集光ミラー用の集光装置等を製造しております。
当事業では、ユーザーへの提案から開発・設計は自社で実施しておりますが、その後の製造に関しては外部の協力会社に委託するファブレス化を進めております。
販売体制としては、直接販売のほか販売チャンネルとして広く販売代理店を活用しております。
また当社の認知度向上のため細胞培養に関わる展示会や学会において積極的に機器紹介やその中で使用されております技術の紹介等を実施し、最近ではiPS関連や再生医療等の研究会や団体へ積極的に参画することにも努めております。

〔事業系統図〕

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

事業系統図

用語説明

注1:大型放射光施設「SPring-8」(Super Photon Ring-8 GeV)

「SPring-8」とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。「SPring-8」では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーから産業利用まで幅広い研究が行われています。「SPring-8」の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来しています。
「SPring-8」は国内外の産学官の研究者等に開かれた共同利用施設であり、平成9年から放射光を大学、公的研究機関や企業等のユーザーに提供しています。課題申請などの手続きを行い、採択されれば、誰でも利用することができます。
「SPring-8」の施設者は理化学研究所であり、「SPring-8」の運転・維持管理、並びに利用促進業務を高輝度光科学研究センターが行っています。

注2:X線自由電子レーザー施設
「SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」

平成18年3月に策定された第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)において国家基幹技術の一つとして選定されたX線自由電子レーザー施設として、平成18年度から理化学研究所と「SPring-8」を運営する高輝度光科学研究センターが共同で施設の建設・整備を行い、平成23年3月に完成、0.063nm(0.63Å(オングストローム:微小な長さを表すのに用いられる単位。1Å=0.1nm))の世界最短波長のX線レーザー生成に成功した施設であり、平成24年3月7日より供用運転を開始しています。

大型放射光施設「SPring-8」、
X線自由電子レーザー施設「SACLA」

注3:X線光学素子

光の反射や屈折を起こさせるための部品のことを指します。例えば、ミラーは光を反射させるため、レンズは光を集めたり広げたりするため、プリズムは可視光を7つの色の光に分けるため、偏向フィルターは光の波の向きがそろっているものだけを通過させるために使用されています。

注4:創薬スクリーニング

新たな医薬品が製品となるまでの一連の過程を創薬と呼び、種々のアッセイ(評価)系を用いて化合物を評価し、その多くの化合物群(ライブラリー)の中から新規医薬品として有効な化合物を選択する作業のことをいいます。

注5:細胞培養

多細胞生物から細胞を分離し、体外で増殖、維持することで、生体外で培養されている細胞のことを培養細胞と呼び、本事業においてはこの培養細胞を培養することを細胞培養といいます。

注6:iPS細胞

人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)の略。京都大学山中教授が作製に成功し、皮膚細胞に特定の4つの遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように様々な細胞に分化・増殖できる万能細胞のことをいいます。特定の細胞や臓器に分化させることによって再生医療の可能性を拡大し、新たな遺伝子治療や薬の開発プロセスでの応用など、医学の臨床及び基礎研究の両面において、今後大きな役割を担っていくものと期待されています。

注7:Cell Float技術

Cell Float(下記参照)は、ガス交換膜を裏側に備えた円形のベッセルが、回転することで細胞に与える重力を打ち消すような培養液の流れにより、細胞組織はベッセルの底に沈むことなく、培養液中にふわふわと浮いた状態で徐々に3次元集合体を形成する培養技術で、RWV(Rotating Wall Vessel)回転培養法の一種です。

(a)装置本体部
(b)回転培養ベッセル(培養器)

Cell Float(CellPet 3D)

注8:3次元培養

細胞培養は通常、ディッシュやフラスコを用いて、平面空間上に細胞を接着させ増殖、分化させますが、平面空間上で培養した細胞は2次元シート状組織しか形成せず、培養の目的によっては、得られる細胞組織が十分な機能を持たないことがあります。再生医療のように、3次元的に損傷した組織に移植する組織を生体外で培養する場合、3次元培養による3次元組織が重要であると言われています。